平成17年度:バイオマスの高機能化とメッキ廃液の資源循環システムの構築

環境リサイクル技術開発支援事業

廃棄物の処理に廃棄物を利用し、資源循環型社会へ

30年位前から、バイオマスに興味があったという。
「当時、ある会社からみかんの果汁をとった後に皮が出て来る。それの有効利用ないかとの話がありました。調べてみるとみかんの皮の中にペクチンがいっぱい入っていたんですね。そのペクチンというのは金属と非常に親和性が高くて、特に鉛なんかをよく吸着するんですよ。そこで、他の廃棄物の中にもいろんな機能をもったやつがあるのじゃないかと思って、いろいろバイオマスをチェックしました。その中で一番気に入ったのがカニ、エビだったんですね。」

生ゴミとして廃棄されていたカニやエビの殻から得られるキチン・キトサンは吸着材の素材として、今までになく高い機能性材料であることがわかった。
そこで九州メッキ組合から、めっき廃液に含まれる有価金属のみを除去回収し、スラッジの減量化と廃棄物の資源化の話があった時に、キチン・キトサンを利用しようと考えたのである。
研究の結果、キチンあるいはキトサンを出発原料とし、分子設計により高選択性、高吸着容量、高吸着速度を示す吸着材の開発に成功した。
しかし、九州メッキ組合の方針が、メッキの種類毎に廃液をわけるシステムに変わり、結果メッキ廃液処理技術の実用化には至っていない。
しかし、馬場教授は言う。
「僕は今から問題になることが3つあると思っているんですね。一つは資源枯渇時代が来るだろうと。もう一つは地球環境汚染の問題。そしてもう一つは、エネルギー生産じゃないかなぁと。」

今、大量に廃棄される携帯電話等の電子機器には、30種類位の金属が入っている。その中からレアメタル、有価金属の回収、あるいは有害金属類の除去を行うのが非常に難しいのだが、ここでもバイオマスの利用が可能だという。そこにこの研究の成果が活かされる。

「廃棄物にも地産地消という考え方が必要だと思っています。廃電子機器などはレアメタルがたくさん入っていて、この間の中国のレアメタル問題みたいなことが起こったらお手上げですから。だから、宮崎で再利用する技術をもっておかないといけない。そういう技術を大学の方で開発していますので是非使いたい企業などがありましたら大歓迎します。すぐじゃなくても将来役にたつかもしれない。我々の研究室に遊びに来るつもりでもかまいませんので是非来ていただきたいですね。」

バイオマスの高機能化とメッキ廃液の資源循環システムの構築

吉玉精鍍 株式会社
宮崎大学
都城工業高等専門学校

更新日:2023/03/11担当:新事業支援課